今週の日本株は、ひと言では表せないほど大きく動いた1週間でした。
週の始まりには、日経平均が一気に1,378円上昇。
「このままAI・半導体を中心とした上昇が続くのか」と思わせるスタートでした。
ところが、そこから相場は大きく変わります。
翌日は1,130円安。
その後も方向感が定まらないまま、AI・半導体からデータセンター、電線、通信、非鉄などへ資金が広がったかと思えば、週末には再び主力のAI・半導体株が大きく売られました。
そして金曜日の日経平均は1,259円安。
一時は下げ幅が2,000円を超える場面までありました。最終的な週間の下落幅は1,009.60円となっています。
では、今週の日本株では一体何が起きていたのでしょうか。
今回は、1日ごとの値動きだけではなく、「資金の流れ」という視点から1週間を振り返ります。
月曜日――いきなり1,378円高から始まった
9月7日。
今週の日本株は、強烈な上昇から始まりました。
日経平均は、
66,399円84銭
まで上昇。
前日比では1,378円90銭高です。
背景にあったのは、前週末の米国市場での半導体株の強さでした。
日本市場でも東京エレクトロンやアドバンテストなど、半導体関連を中心に買いが入り、AI関連にも資金が向かいました。
この時点では、
米国半導体株が強い
↓
日本の半導体株が買われる
↓
AI関連にも資金が広がる
という、これまで続いてきた流れが非常に分かりやすく出ていました。
ただし、この日の上昇には一つ注意点もありました。
日経平均が大きく上昇した一方で、相場全体が同じように強くなっていたわけではありません。
つまり、
「日本株全体が強い」というより、「指数への影響が大きい主力株に資金が集中した」
という見方も必要でした。
火曜日――わずか1日で1,130円安
そして翌日の9月8日。
相場は一気に反転します。
日経平均は、
65,269円33銭
まで下落。
前日比1,130円51銭安です。
月曜日に1,378円上昇したと思ったら、翌日に1,130円下落。
これだけでも、今週の相場が非常に不安定だったことが分かります。
背景には円相場や中東情勢、原油価格などへの警戒がありました。
この週は円が強含み、ドル円は155円を割り込む場面がありました。市場では円高方向への動きや、日米の金融政策への思惑も意識されていました。
ここで、月曜日までの
「AI・半導体が強いから買う」
という単純な流れに変化が出始めました。
水曜日――今週で一番「資金の流れ」が見えた日
9月9日は、個人的にも今週の中でかなり重要な日だったと思います。
日経平均は126円安。
指数だけを見ると、
「また下がった日」
に見えます。
しかし、実際の個別株を見ると全く違う景色がありました。
この日は、
- フジクラ
- 古河電工
- 住友電工
- イビデン
- JX金属
- 住友金属鉱山
- 三井金属
- 三菱重工
など、AIやデータセンターを取り巻く周辺インフラや非鉄関連に資金が向かいました。
ここで見えてきたのが、
AI・半導体
↓
データセンター
↓
電線・通信
↓
電力・インフラ
↓
非鉄・資源
という資金の広がりです。
これは今週の相場を見るうえで非常に重要でした。
AIそのものだけを見ていると、
「半導体が強いか、弱いか」
だけで終わってしまいます。
しかし、その周辺まで見ていくと、
「AI需要を支えるために、次は何が必要なのか」
という別の資金の流れが見えてきます。
木曜日――下げ止まったように見えた
9月10日。
前日の米国市場では、原油価格が100ドルを超え、米国株も下落。
それでも日本株は、一時大きく下落したあとに戻す動きを見せました。
日経平均は最終的に65,270円95銭。
前日比では128円17銭高となりました。
ここで一つの疑問が出てきます。
「これで相場は落ち着いたのか?」
それとも、
「単純に一時的に下げ止まっただけなのか?」
この判断は、この時点ではまだできませんでした。
なぜなら、原油高や米国金利、米国株の弱さといった外部環境が改善したわけではなかったからです。
その答えが出たのが、翌日の金曜日でした。
金曜日――最後はAI・半導体まで売られた
9月11日。
今週最後の取引日は、非常に厳しい相場になりました。
日経平均は、
64,011円34銭
まで下落。
前日比では1,259円61銭安。
さらに安値は63,208円63銭まであり、一時は下げ幅が2,000円を超えました。
ここで重要だったのは、
これまで相場を支えていたAI・半導体関連まで大きく売られたこと
です。
アドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、キオクシア、イビデンなどが日経平均の下押し要因となりました。
特にアドバンテスト1銘柄だけで、日経平均を約531円押し下げています。
つまり金曜日には、
「AI・半導体の中で強い銘柄を探す」
という段階から、
「AI・半導体そのものから資金が抜けているのか」
を考える段階へ変わりました。
なぜ最後にここまで売られたのか?
今週の後半で大きく意識されたのが、
原油価格の上昇
です。
中東情勢の緊迫化を背景に、Brent原油は9日に101.21ドルまで上昇し、5月以来の高値となりました。
原油価格が上昇すると、
原油高
↓
インフレへの警戒
↓
金利への警戒
↓
株式市場への逆風
という連想が働きます。
さらに米国株も弱く、金利上昇への警戒も重なりました。
金曜日の日本市場では、原油高や日米の金融政策を巡る利上げ観測が重しとなり、主力のAI・半導体株に売りが膨らみました。
今週の相場は、単純に「AI株が上がった、下がった」という話ではありません。
外部環境が悪化したことで、これまで買われていたテーマ株にも資金が回りにくくなった
と考えると、1週間の流れがつながります。
今週の「資金の流れ」を一本につなげる
今週を資金の流れだけで整理すると、かなり分かりやすくなります。
週初
米半導体
↓
日本の半導体
↓
AI関連
まずは主力テーマに資金が集中しました。
↓
週中
AI・半導体
↓
データセンター
↓
電線・通信
↓
非鉄・資源
資金が周辺テーマへ広がりました。
↓
週末
原油高・金利上昇・米国株安
↓
リスク回避
↓
AI・半導体の主力株まで売却
最後には、テーマ内で資金を回す動きよりも、全体のリスクを落とす動きが強くなりました。
これが、今週の日本株を理解するうえで一番重要なポイントだと思います。
「指数」と「中身」は同じではなかった
今週を振り返ると、日経平均だけを見ていると分からないことがたくさんありました。
月曜日は1,378円高。
しかし、すべての銘柄が同じように上がったわけではありません。
水曜日も日経平均は小幅安でしたが、電線や非鉄などには強い動きがありました。
そして金曜日は日経平均が1,259円安。
東証プライムでは値上がり509銘柄に対して、値下がり986銘柄となりました。
つまり、
「日経平均が上がっているから全部強い」
でもなければ、
「日経平均が下がっているから全部弱い」
でもありません。
だからこそ、相場を見るときには、
株価
+出来高
+テーマの強弱
+市場全体の方向
を一緒に確認する必要があります。
今週の相場から見えてきたこと
今週一番印象に残ったのは、
「強いテーマは、相場環境が悪化しても永遠に強いわけではない」
ということです。
月曜日にはAI・半導体が相場を引っ張りました。
水曜日には、その資金がデータセンターや電線、非鉄などへ広がりました。
これは非常に興味深い資金循環でした。
しかし、原油高や金利上昇への警戒が強まると、その循環自体が弱くなりました。
そして最後には、AI・半導体の主力銘柄まで売られました。
これは、
「テーマが終わった」
と決めつける段階ではありません。
ただし、
「今まで強かったから、来週も同じように強い」
と考えるのも危険です。
大切なのは、来週の相場で実際に資金がどこへ向かうのかを確認することです。
来週は「何が上がるか」より「どこに資金が戻るか」
来週の相場を見るうえで注目したいのは、まず外部環境です。
- 原油価格は落ち着くのか
- 米国株は反発するのか
- 米長期金利は低下するのか
- 円高の流れは続くのか
- AI・半導体に再び資金が戻るのか
- それとも別のテーマへ資金が移るのか
特に重要なのは、
金曜日に大きく売られた銘柄が、来週どのような値動きをするか
です。
売られた後に出来高を伴って戻ってくるのか。
それとも戻りが弱く、さらに売られるのか。
ここを見ることで、今回の下落が単なる一時的なポジション調整だったのか、それとも資金の流れそのものが変わったのかが見えてきます。
今週を振り返って
今週の日本株は、
「上がった1週間」でも「下がった1週間」でもありませんでした。
むしろ、
資金の流れが何度も形を変えた1週間
だったと思います。
月曜日にはAI・半導体が主役。
火曜日には急落。
水曜日にはデータセンター、電線、非鉄などへ資金が広がる。
木曜日には下げ止まりの動き。
そして金曜日には、原油高や金利上昇への警戒から、主力のAI・半導体まで大きく売られました。
週間では日経平均が1,009.60円安。
ただ、その数字だけでは今週の相場の面白さは分かりません。
今週見えてきたのは、
「資金は一つのテーマに止まり続けるのではなく、相場環境によって次々と移動する」
ということです。
だからこそ、来週も単純に「AIが強い」「半導体が弱い」と決めつけるのではなく、
今、どこからどこへ資金が動いているのか。
そこを株価と出来高、そしてテーマの強弱から確認していきたいと思います。
今週の相場は、まさに**「資金の流れを見ることの重要性」を実感できる1週間**でした。
読んでくれた方に幸あれ



