今週の日本株は、数字だけを見るとかなり強い1週間でした。
9月14日から18日までの5営業日で、日経平均株価は、
63,?
……と書きたくなるところですが、実際に見るべきなのは週末の数字だけではありません。
今週の日経平均は、週の途中で大きく売られる場面がありながら、最終的には65,018円95銭まで上昇。
前週末比では、
+1,007円61銭
+1.57%
となりました。
一見すると、
「今週は日本株が強かった」
という話で終わりそうです。
しかし、5日間の値動きを追っていくと、もう少し違った景色が見えてきます。
今週の相場を一言で表すなら、
「資金が逃げ、広がり、そして最後に再び集中した1週間」
でした。
まず、今週の日経平均を振り返る
今週の日経平均は、毎日同じ方向に動いたわけではありません。
| 日付 | 日経平均終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 9月14日 | 63,492.99円 | -518.35円 |
| 9月15日 | 63,484.10円 | -8.89円 |
| 9月16日 | 63,923.00円 | +438.90円 |
| 9月17日 | 64,136.25円 | +213.25円 |
| 9月18日 | 65,018.95円 | +882.70円 |
週の前半は下落。
そこから3日続伸して、一気に65,000円台を回復しました。
特に18日は一時、
65,436円57銭
まで上昇。
日経平均だけを見ると、最後に強烈な上昇を見せた週だったことが分かります。
ところが、この数字だけでは今週の相場は説明できません。
月曜日に起きた「不思議な下落」
週明け14日。
日経平均は、
518円35銭安
と大きく下落しました。
一時は62,726円18銭まで下げています。
AI・半導体関連の主力株が売られ、ソフトバンクグループも大きく下落。
OpenAIの年内上場見送り方針などを受け、AI投資への警戒感も意識されました。
ここだけ見ると、
「AI・半導体が崩れて、日本株も弱くなった」
ように見えます。
ところが、この日の市場全体を見ると面白いことが起きていました。
東証プライムでは、
値上がり銘柄が1,200銘柄超。
つまり、日経平均は大きく下がったのに、市場全体では多くの銘柄が上昇していました。
これは何を意味するのでしょうか。
日経平均が下がっても「資金が市場から逃げた」とは限らない
ここが今週の最初のポイントです。
日経平均は、指数への影響が大きい大型株の値動きに左右されます。
そのため、
AI・半導体などの大型株が売られる
↓
日経平均が下がる
となっても、
市場全体から資金が消えたとは限りません。
14日はまさにその形でした。
AI・半導体から出た資金が、別の銘柄へ向かっていたと見ることができます。
つまり週のスタートから、
「指数を見るだけでは資金の流れが分からない」
という今週の特徴が表れていました。
火曜日は「次の主役」が決まらなかった
15日は日経平均が、
8円89銭安。
ほぼ横ばいでした。
この日は金融政策イベントを前に様子見ムードが強く、前日の急落後に買い戻される銘柄がある一方、AI・半導体関連では売りが続く銘柄もありました。
つまり、
「次にどこへ資金が向かうのか」
を市場が探している状態です。
14日にAI・半導体から資金が離れたからといって、翌日に別のテーマが一気に主役になったわけではありません。
ここで一度、相場の方向感がなくなりました。
水曜日から流れが変わり始める
16日になると、日経平均は、
438円90銭高。
4日ぶりの反発です。
ここから少しずつ市場の雰囲気が変わります。
ただし、この段階でも、
「半導体が完全復活した」
と見るのは早いところでした。
米国市場や金利、金融政策など複数の材料を確認しながら、売られていた銘柄への買い戻しが入る展開。
そして翌17日になると、さらに面白い動きが出てきます。
木曜日は「半導体が失速しても日経平均は上がった」
17日。
日経平均は、
213円25銭高。
朝はAI・半導体関連が買われました。
しかし、その後は半導体関連が伸び悩みます。
それでも日経平均はプラスで終了。
市場ではバリュー株や個別銘柄への買いが広がりました。
ここで今週の資金の流れがはっきりしてきます。
AI・半導体が弱い
=
日本株全体が弱い
ではありませんでした。
むしろ、
AI・半導体
↓
他のテーマ・個別株
へ資金が移動していたと考えられます。
17日は、東証プライムで値上がり銘柄が8割を超えるなど、市場全体には買いが広がっていました。
つまり、
日経平均の上昇以上に「市場全体が買われていた」
日だったわけです。
そして金曜日、資金がもう一度AI・半導体へ
18日は今週最大のポイントです。
前日の米国市場では、
NASDAQが上昇。
そして、
SOX指数も3%超上昇。
これを受けて日本市場では、AI・半導体関連株が再び買われました。
アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシア、レーザーテックなどが上昇。
日経平均は、
882円70銭高
となりました。
ここで、
「やっぱり今週は半導体相場だった」
と思いたくなります。
しかし、最後まで見ると、また違う姿が出てきます。
金曜日は日経平均が882円高なのに、値下がり銘柄のほうが多かった
18日のTOPIXは、
4,091.14
前日比-3.05
でした。
そしてプライム市場では、
値下がり銘柄が1,003銘柄。
値上がりは511銘柄でした。
つまり、
日経平均 +882円
なのに、
市場全体では値下がり銘柄のほうが圧倒的に多い。
これはかなり重要です。
今日の上昇は、
日本株全体が一斉に上がった上昇ではありません。
AI・半導体など、日経平均への影響が大きい銘柄に資金が集中したことが、指数を大きく押し上げました。
さらに日銀の利上げも重なった
18日はAI・半導体だけではありません。
日銀は政策金利を、
1.0% → 1.25%
へ引き上げました。
投票は、
7対2。
約31年ぶりの高い水準です。
ところが、利上げ後に円安が進み、日経平均は上げ幅をさらに拡大しました。
日銀の決定を受けた市場の受け止め方や円相場の動きも、後場の株価を押し上げる要因になりました。
今週はFOMCと日銀という大きな金融政策イベントが重なった週でした。
それでも、相場は単純な
「利上げ=株安」
にはなりませんでした。
金融政策そのものより、
市場がその結果をどう受け止めたか
が株価を動かした週だったとも言えます。
今週の本当の主役は「半導体」ではなく「資金の移動」
ここまで5日間を振り返ると、今週の相場をかなり整理できます。
月曜日
AI・半導体売り
↓
しかし市場全体では多くの銘柄が上昇
↓
資金が別の場所へ移動
火曜日
方向感が薄れる
↓
次の資金の行き先を探す
水曜日
買い戻し
↓
市場が反発
木曜日
AI・半導体が失速
↓
バリュー・個別株へ資金が拡散
金曜日
SOX大幅高
↓
AI・半導体へ資金が再集中
↓
日銀利上げ
↓
円安
↓
日経平均が882円高
この流れを見ると、今週は、
「半導体がずっと強かった週」
ではありません。
むしろ、
「AI・半導体から資金が離れ、別の銘柄へ広がり、最後に再びAI・半導体へ戻ってきた週」
でした。
日経平均の数字だけでは見えなかったもの
今週を振り返って特に面白いのが、
日経平均と市場全体の動きが何度もズレたこと
です。
月曜日は、
日経平均大幅安
↓
値上がり銘柄が多い
という状態。
そして金曜日は、
日経平均大幅高
↓
値下がり銘柄が多い
という逆の状態になりました。
つまり、
「日経平均が上がったから市場全体が強い」
とも、
「日経平均が下がったから市場全体が弱い」
とも言い切れません。
今週は、そのことが非常に分かりやすく表れた1週間でした。
今週の相場から見えた「資金の流れ」
今回、4つのテーマを中心に見てきました。
AI
半導体
データセンター・通信
電力・空調
この中で今週最も明確に資金の出入りが確認できたのは、
AI・半導体
でした。
ただし、そこからデータセンター・通信、電力・空調へ一直線に資金が広がったわけではありません。
むしろ、
AI・半導体
↓
他テーマ・個別株
↓
再びAI・半導体
という循環が目立ちました。
だから来週以降も、
「AIだから買われる」
「半導体だから買われる」
と決めつけるのではなく、
実際にどのテーマへ資金が入っているのか
を確認する必要があります。
今週を終えて、来週見るべきポイント
日本市場はこのあと連休に入ります。
だから次の営業日まで少し時間が空きます。
その間に確認したいのは、
米国のAI・半導体株がどう動くのか。
そして、
米長期金利・原油・為替がどう動くのか。
さらに、
18日に買われた日本のAI・半導体株へ、連休明けにも資金が戻ってくるのか。
ここが重要になります。
もし半導体が再び買われても、そこからデータセンター・通信、電力・空調へ資金が広がるのか。
それとも、
一部の大型株だけに資金が集中するのか。
ここを見れば、単なる「半導体高」なのか、それともテーマ全体へ資金が広がっているのかを判断しやすくなります。
まとめ|今週は「上がった週」ではなく「資金が動いた週」
今週の日経平均は、
前週末比+1,007円61銭
+1.57%
で終了しました。
数字だけを見ると、
「日本株は強かった」
という一言で終わってしまいます。
でも、5日間を追ってみると、
AI・半導体が売られる
↓
資金が別の銘柄へ移る
↓
相場全体へ買いが広がる
↓
再びAI・半導体へ資金が戻る
という、大きな資金移動が起きていました。
さらにFOMCと日銀という2つの金融政策イベントも通過。
原油、金利、為替、AI・半導体という複数の材料が絡み合い、日によって資金の向かう先が変わる相場でした。
だから今週の日本株を振り返るなら、
「日経平均が1,000円上がった週」
というより、
「資金の行き先が何度も変わった週」
と考えるほうが、相場の中身を理解しやすいのではないでしょうか。
来週も見るのは、単純な株価の上げ下げだけではありません。
株価。
出来高。
テーマの強弱。
そして、資金がどこからどこへ移っているのか。
この4つを追いながら、連休明けの日本市場を見ていきたいと思います。
読んでくれた方に幸あれ



